世界大会出場を目指す火星ローバーの性能実証実験
1. 申請代表者名
平尾杏奈(工学部電気電子情報工学科・3年)
2. 事業の期間または行事等の開催日
性能実証実験(鳥取ローバーチャレンジ):令和8年3月19日から21日
開発期間:令和8年3月まで
3. 支援を受けようとする活動の概要
名古屋大学宇宙開発チーム NAFTは「Link Space ~宇宙を身近に~」をモットーに,メンバーが宇宙開発を楽しみ,かつその魅力を発信することを目標としている.現在,ハイブリッドロケットやCanSat,火星ローバーの開発プロジェクトを進行しており,加えて社会貢献活動などを行うことで,文系理系融合の総合力を養えるコミュニティを作ることを目的としている.
火星ローバーの開発プロジェクトでは,有人火星探査の初期段階において有用なローバーを開発するというコンセプトの元,不整地を走行しロボットアームによる物の運搬や精密作業,さらに自律動作や生命調査を行う機能を有するローバーを開発している(図1).NAFTに属する学生の,火星探査機をつくりたいという思いから発足し,現在学生ローバーの世界大会であるURC(University Rover Challenge)への出場を目指して,活動を行っている.
火星ローバーという特性上,開発には機体の構造設計やその制御といった工学的な側面だけでなく,バイオマーカーの検出や土地の分析といった理学的な面,さらには企業との技術交流も重要である.分野をまたぎ協力して1つのものを開発・運用することは,各分野の知識を深めることのみならず,学生のマネジメント能力やリーダーシップの養成につながると考える.また,国内では数少ない火星ローバー開発を行う学生団体のひとつとして,積極的にイベントへの参加や他団体との交流を行っている.さらに,本プロジェクトで得られた成果に関する,小中学生を始めとした幅広い対象に向けたアウトリーチ活動も予定している.以上のような活動により,NAFTは学生に交流の場を提供することで優秀な人材の育成に貢献するとともに,本学への関心を高める一助になると考える.
本プロジェクトが性能実証実験と位置づける鳥取ローバーチャレンジは,国内では稀な大型の無人探査機を対象とした大会である.NAFTは本大会の前身であるデモンストレーションイベントから関わっており,2025年3月に開催された 第1回大会では,運営および競技者として参加した.図2は大会参加時の様子である.本大会では,ローバー上のセンサのみを用いた自律走行や,急斜面の走行,物の運搬,土地の分析など月面宇宙探査において要求されるタスクを行う.火星探査とは地面の条件や理学的な要求等が異なるものの,ローバーに求められる基本性能や制御は似ている.昨年度の大会参加は,その時点でのローバーの性能を測り,また他団体と技術交流をする良い機会となった.この中でURC出場にかかる種々の改善点を見つけ,現在活動を行っている.活動の主軸として「動作を確実なものにし信頼性を上げること」を据え,以下の3点に取り組んでいる.
・ 走行性能の向上.車体に搭載する独立ステアリングの全面改装および,タイヤの形状・材質の変更を行う.
・ ロボットアームの性能向上.設計を変更し,耐重量をあげ精密な操作への対応をする.
・ 操作の安定性の向上.センサの追加,通信設備の改良,および遠隔操作と土地の分析のためのカメラの増強を行う.
現在は設計および構想段階であり,これらの性能評価試験として,今年度の3月に実施される同大会を位置づける.以上の実現にあたっては,材料費や加工の外注費の確保,モーターやセンサ等の購入が必要であるが,会費からの抽出は困難であり,資金調達が必須である.ぜひとも名古屋大学同窓会のご支援を賜り,URCの出場が可能なローバーの開発を行いたいと考えている.
図1:開発中の火星ローバー
図2:大会参加時の様子
4. 全学同窓会の理念との関連
全学同窓会の設立理念にある,「1) 全学的な見地にたって、部局同窓会と連携しながら卒業生、学生、教職員の交流の場を提供する。 (後略)」「2) (前略) 名古屋大学全体の情報発信や人的交流において、全学同窓会は中心的な役割を果たし、名古屋大学が社会に開かれた大学になるように大学と連携協力する。」「3) 全学的見地から、学術研究、教育および学生の支援を行い、国内外で指導的役割を果たしえる人材の養成を通じて、人類の福祉と文化の発展ならびに産業に貢献する。(後略)」の3点において,大きく関連すると考える.
1) 本プロジェクトが複数の分野を融合したものかつ,学生間の交流を促進するものであること.また,NAFT自体として,学生や卒業生の交流する機会を与えるものであること.
2) 国内で火星ローバーの開発を行う主要学生団体のひとつとして,実証実験を企画するなど,他団体と積極的に交流を行うこと.
3) 複合的かつ高度なプロジェクトに関わることで,全学的な総合力を持つ人材の育成に大きく貢献するものであること.